「門+壹」っていう漢字、これなんだろう?──古文献で出会った謎の一文字を追う話

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漢字小姐

古い漢籍を読んでいたときのこと。ふと目に止まった、見慣れない漢字があったんです。
それが「門+壹」(ユニコード:U+28E0C)。この漢字なんだろう?

パッと見、「門」に「壹(壱の旧字体)」をブチ込んだような構造なんだけど、普通に読んでてまったく意味がわからない。気になりすぎたので、ネットであれこれ調べてみました。


日本語の情報はなかなか見つからない

検索をかけてみたものの、「門+壹」についてちゃんと説明してくれてる日本語の情報って、びっくりするくらい少ない。
あれこれページを開いてみても、ピンと来るものが見つからないまま時間だけが過ぎていく。

ようやく見つけたのが、『漢字林』というサイト。そこでの説明によると、「門+壹」の音読みは「エツ」あるいは「エチ」なんだそう。

参考:https://ksbookshelf.com/DW/Kanjirin/Kanjirin83.html


中国語の資料を探してみると、ようやく意味がわかった

そこで視点を切り替えて、中国語圏の資料も探ってみた。
すると台湾の教育部(日本でいう文部科学省に近い機関)が公開している「異體字字典」というデータベースにたどりつく。

ここでついに、「門+壹」の正体が明らかになった。
この字は、「闐(てん)」の異体字とのこと。

  • 漢語ピンイン:yē
  • 意味:「満ちる」「ふさがる」「いっぱいになる」など
  • 構造:門部に壹(壱)を加えた形

参考:https://dict.variants.moe.edu.tw/dictView.jsp?ID=107616


「闐」ってどんな字なのか?──地名にもなっている古い漢字

この「闐」って字、普段の生活ではまず目にしないけど、実は歴史的にはけっこう重要だったりする。
古代中国の西方に存在した「于闐(うてん)」という国家の地名に使われていたんですね。

今でいうとシルクロードの重要な都市の一つ。「Khotan(コータン)」とも呼ばれていて、文化や商業の交差点になっていた場所。

そんな「闐」は、門の中に何かがぎゅうぎゅうに詰まっているイメージを持つ字で、「満ちる」「ふさがる」といった意味を表している。
そこに「壹」がくっついた「門+壹」は、さらに強調された表記と見ていいんじゃないかと思う。


異体字ってなんで生まれるのか?

「門+壹」は「闐」と意味も読みも同じ。でも形が違う。こういうのを「異体字」と呼ぶ。
異体字が生まれる理由はけっこう単純で、時代や地域によって書き方が変わっていったから。

手書きだった時代には、書き手によって文字の形が微妙に違うのは当たり前だったし、それが積み重なって、いくつもの「別の形」ができていった。

現代ではそういうバリエーションは整理されて、標準的な文字だけが使われるようになったけど、古文書や石碑の中には、まだこういう異体字がしっかりと残っている。


まとめ:「門+壹」は、にぎわいと満ちあふれた様子を表す古い漢字

こうして調べてみると、「門+壹」って字は、ただの珍しい文字じゃなくて、古代の文化や地理、文字の進化といった背景まで見えてくるような存在だった。

意味としては、「人や物が満ちあふれる」「門がふさがるほどにぎやか」というような、豊かさや活気を感じさせるもの。

現代ではまず見かけることはないけど、古文献を読むときや、歴史をたどる場面で出会う可能性は十分ある。
知らない文字に出会ったとき、ただスルーするんじゃなくて、「これなんだろ?」って思って調べてみると、案外深い世界につながってたりするもんですね。

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南無パンクロック

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written by 南無パンクロック 

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