DRADNATS『New Unseen Tomorrow』全12曲の感想(2)

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[DRADNATS『New Unseen tomorrow』全12曲の感想(1)のつづき]

5. Holiday
 小気味よいハネるリズムに、キャッチーさと哀愁感を兼ね備えたグッドメロディーが印象的なポップパンクナンバーである。ちょうど世界的パンクバンドGreen Dayに同タイトルの有名曲があるが、ハネる感じとテンポ感だけを取ったら、DRADNATSの『Holiday』とかなり通ずるものがある。また、ジャパニーズメロコアの雄Hi-STANDARDの人気曲『Mosh Under The Rainbow』とも通ずるものを感じる。先に挙げた3バンドの曲を比較してみると、DRADNATSが泣きメロ、Green Dayがキラーチューン、ハイスタがピースフル、といったところだろうか。細部に至るまで凝らされたDRADNATSらしい巧みなアレンジングアプローチが、曲をよりドラマチックなものへと聴かせたらしめている。アルバム全体の流れにメリハリを与える上でも、この曲の果たす役割は大きいであろう。

6. Only You
 シンプルな曲構成ながらもDRADNATSらしいグッドメロディーと疾走感を兼ね備えたメロコアナンバーである。イントロの頭の印象的なベースフレーズが、曲の始まりを合図するかの様につま弾かれると、勢いそのままにバンド全体でアッパーなロックサウンドがかき鳴らされていく。8ビートのAメロで一度落ち着かせてから、サビへの助走となるBメロでギアを一つ上げて、サビで一気にトップギアに入れて疾走していくという、メロコアリスナーのツボを心得ている様な気の利いた曲展開は見事である。

7. Straight Ahead
 琴線に触れるようなメロディックなギターリフとフレージングセンスの光るキメがとても印象的な疾走感あり泣きメロ要素(多大に)ありのグッドメロディーナンバーである。この曲を聴いていて思うことは、つくづく名曲目白押しなアルバムだなということである。このアルバムは聴く前から、傑作の呼び声高いことを知っていたが、実際に聴いてみて「本当、傑作と言われるだけある」と納得させられたし、僕にとっては期待を裏切らない大満足な内容であった。この曲も然りで、傑作アルバムの中の傑作ナンバーではないだろうか。抜群のメロディー性と抜群のスピード感が「これぞメロコアの中のメロコア!」の如き様相を呈している。

8. In My Heart
 名曲。泣きメロ感溢れるDRADNATSの傑作ナンバーではないだろうか。「泣きたくなるほど切ないメロディー」とは、まさにこの曲の哀愁感漂うメロディーのことであろう。エモーショナルなギターリフをかき鳴らしながら疾走していくイントロ。タテヨコにグルーヴを揺らしつつ駆け抜けていくAメロからドラマチックさを増していくBメロ。最高潮のシーンで珠玉のメロディーを響かせ、更に疾走していくサビからの展開。この曲全体を通して圧倒的なのは、やはりその「極上の泣きメロ」の響き、であろう。メロコアの一つの極致と言っても過言ではないかもしれない、抜群のメロディーだ。(つづく)

written by 南無パンクロック 

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