[DRADNATS『MY MIND IS MADE UP』全14曲の感想(2)のつづき]
前回の記事に引き続き、DRADNATSの3rdアルバムに収録されている曲を聴いてみた所感を書き綴ります。
トラック9『Get Our Future』
哀愁感のメロディーと重厚なビートで疾走して行くナンバー。Ken Yokoyama氏が得意とするメタリックなサウンドを彷彿とさせるキラーチューンだ。すべてを振り切るような勢いで疾走しながらも、切れ味鋭いギターリフやドラムのキメがメリハリを与えている。DRADNATSの持ち味であるキクオとヤマケンのボーカルのかけ合いや絶妙なコーラスが、曲の勢いを更に増さしめている。
トラック10『#Summer Days』
軽快なウクレレと打楽器の音色が印象的な、南国を思わせるインストナンバーだ。気の抜けるようなゆる~い声が雰囲気と合っている。アコースティックな7曲目『My Very First Love』といい、このインストナンバーといい、これまでのDRADNATSのアルバムにはなかった要素が盛り込まれているといえよう。そのあたり、やはりKen Yokoyama氏の手腕によるものだろう。ハイスタの『MAKING THE ROAD』やKen Yokoyama氏の『Nothin’ But Sausage』でも、こうしたインストナンバーの使い方は見られる。作品全体にメリハリを与えるこういった曲はこのアルバムでもその効果を発揮している。
トラック11『Way』
DRADNATSらしい哀愁感たっぷりのメロディーで疾走していくアッパーなナンバー。グッと勢いをつけるところの勢いのつけ方などは流石である。そうしたアレンジからも伺えるように、DRADNATSとKen Yokoyama氏の卓越したメロコアセンスには突出したものがある。キクオが歌うエモーショナルな主旋律に、ヤマケンのコーラスが加わることによって、よりエモーショナルな響きを持ったメロディーとなる。ここら辺メロコア好きのツボをよくついてると思う。歌い出しから「Show your finger to fake songs of green souls(嘘くさい青き心の歌には中指を立ててやれ!)」とパンクスピリッツ溢れることを言っている。「青き心」とは、まさかブルーハーツのことではないと思うけれど何を指しているのか。メロコアとはある意味対極にある、いわゆる青春パンクのことを言っているのだろうか。わからないけれど、彼にとっては本音の歌詞なのだろう。
トラック12『What’s Justice』
疾走感満点なドライブサウンドのイントロから、駆け抜けてかき乱して振り切って行くかのようなファスト&ラウドなメロコアナンバーである。キレのあるギターリフなど、曲にパンチを与えていて、疾走しながらもタテヨコにとグルーヴしている。「Don’t look away think it through(とにかく目をそらさないでしっかり考えるんだ)」と、現実を見て自分の頭でよく考えて主体的に行動していくことが大事だ、とが歌われている。キクオがキッズに送っている言葉のようでもあるし、自分自身がそうして行こうという意思の現れようでもある。
[DRADNATS『MY MIND IS MADE UP』全14曲の感想(4)へつづく]
written by 南無パンクロック
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