東京スカパラダイスオーケストラ(スカパラ)はあまりにも有名なスカバンドである。また若者に好まれる傾向にあるスカパンクシーンならば、HEY-SMITHなどのバンドが最近は有名であろう。
音楽のジャンルのうちの一つであるSKA(スカ)は、そのリズムに最大の特徴がある。言葉では説明しにくいが、スカのリズムは二拍目・四拍目の音を強調して、一拍目・三拍目は休符となる。
イメージ的には「休♪休♪休♪休♪」(「休」のところは休符記号が入る)と続いていくのがスカのリズムで、これを「裏打ち」と言う。
この裏打ちのリズムがスカに独特のテイストを生み出しており、一つの音楽ジャンルとして成立せしめている。(中国語ではスカを斯卡(sī kǎ)と音写するらしい)
SKAのルーツ
スカは、レゲエで有名なジャマイカの音楽にルーツがあり、音楽的なムーヴメントによって世界へと徐々に広がって行ったようである。
大きな流れの中で見ると、ジャマイカのオーセンティック・スカや、イギリスの2トーン・スカのムーヴメントが何世代か前にあって、その発展系や、原点回帰などが、現在の諸スカバンドの位置する所である。
さほど詳しくないが、オーセンティック・スカでは、スカタライツやプリンスバスターが有名で、2トーン・スカでは、スペシャルズやマッドネスが有名だったかと思う。
スカパラは、オーセンティック・スカも2トーン・スカも踏まえながら、新たに現代的なスカを強く打ち出そうとしているバンドであるように見える。
SKA PUNK系のバンド
筆者は高校生くらいの時にSKA系のバンドを聴き始めたが、当時は専らスカパンクのPOTSHOTやKEMURIなどを聴いていた。スカパンクは高校生くらいのリスナーにとって、取っつき易く、比較的アクセスのしやすいものであった。
(もし今この時代に、スカタライツやスペシャルズを愛聴しているという高校生がいたら、それは相当珍しいリスナーであろう)
またメロコアバンドのSNAIL RAMP(スネイルランプ)も、大ヒット曲の「MIND YOUR STEP!」を聴けばわかるようにSKAから影響を受けている。
Hi-STANDARD(ハイスタンダード)の『ANGRY FIST』のシークレットトラックは、「ピンクパンサーのテーマ」で、ハイスタでは珍しくSKAの裏打ちを使っている。
Ken Yokoyamaには、SKA寄りのナンバー「Come On,Let’s Do The Pogo」がある。
大阪出身のガールズバンドのオレスカバンドもその名がよく知られており、「爪先」はテレビアニメ『BLEACH』のエンディングテーマとして使用されて特に有名な曲である。
東京スカパラダイスオーケストラのコラボ
スカパラがジャンルの枠を超えていろいろなアーティストとコラボし続けているのは、とても面白みがあるし新しい。
ハイスタの横山健もまたスカパラとコラボした一人であり、計3曲のコラボ作品を発表している。そのうち「道なき道、反骨の。」は、綾野剛主演の映画『日本で一番悪い奴ら』(2016年公開)の主題歌に用いられた。横山健とスカパラがコラボしたあとの二曲は、「さよならホテル」と「遠い空、宇宙の果て。」である。
最近ではYOASOBIの幾田りら(中国語では「りら」を「莉拉」と表記する)をゲストボーカルに迎えて「Free Free Free」という楽曲をリリースしたのも記憶に新しい。
NEO SKA系バンド
NEO SKA(ネオスカ)というジャンルでは、サタニックカーニバル2017と2019にも出演したOi-SKALL MATES(オイスカルメイツ、略してオイスカ)が推しである。
バンドとしてはオイスカほど知られていないが、DOBERMANの「うたかたの唄」は日本情緒溢れる哀愁の名曲である。
海外のSKA系バンド
ドイツのネオスカバンドThe Bustersの「Mickey Mouse in Moscow」は、その独特なテイストがとてもおもしろい。
アメリカのミクスチャーバンドFishboneの「Party At Ground Zero」は、ライブで底抜けに盛り上がるキラーパーティーチューンだ。
written by 南無パンクロック
コメント