[DRADNATS『New Unseen tomorrow』全12曲の感想(2)のつづき]
9. Far Apart
生粋のメロコアバンドであるDRADNATSらしい疾走感のあるメロディックチューンとなっている。イントロのマシンガンのようなドラムロールを合図に曲が始まると、伸びやかで力強いキクオさんの歌声がバンドのグルーヴに乗っかって、縦横無尽にそのメロディーを響かせていく。疾走感といってもただの疾走感ではなく、目まぐるしい曲展開の上での疾走感なので、そのめまぐるしさがもたらすメリハリが疾走感をより強調していて、聴き応え抜群である。また絶妙なコーラスの入れどころや、間奏の印象的なギターフレーズなど、細かいニュアンスに至るまで彼らのメロコアセンスが光っている。
10. Better View
泣メロ要素を強く感じるファスト&ミディアムなメロコアナンバーである。飛び出していくような勢いそのままに疾走していくオープニングから、転じて歌心溢れるサビを聴かせる。ファストとミディアムなテンポを交互に行き来しながらも、間奏あたりからの展開ではエモーショナルかつドラマチックなサウンド及びメロディーによって、曲の雰囲気が盛り上がっていく。DRADNATSの強みであるキクオさんとヤマケンさんによるボーカルのかけ合い及びハモりは、この曲においても全編に渡って聴くことができ、そのコンビネーションといったら圧倒的な感がある。
11. Equal
KenYokoyama氏のサウンドを彷彿とさせる様なエモーショナルなメロディーとキメッキメでメリハリの効いたアレンジが印象的である、味わい深いメロコアナンバーだ。このアルバムを通して、グッドメロディーが満載なのは言うまでもないが、それらは決して似通った一辺倒なグッドメロではなくて、曲によってかなり趣の異なったメロディーとなっていると思う。その点、この曲のメロディーもとても個性的なグッドメロであると思う。またDRADNATSの曲は比較的わかりやすい構成からなっていると思うが、それは決して単調ということではなく、わかりやすさの上にあるプラスアルファのアレンジングが実に巧みであるということが、この曲を聴いて改めて思うところなのである。
12. Time Again
アルバムのラストナンバーにして、むしろここからのスタート的な雰囲気を感じさせるファスト&グッドメロなDRADNATSらしいメロコアナンバーである。これまでの日々を振り返り懐かしみつつも、これからの日々への期待と、前へ前へ進んでいく意志を感じさせるような、良い意味で前のめりな勢いを感じる曲である。アルバムの最後の最後まで攻めの姿勢を崩さないDRADNATSらしいメロコアサウンドは実に痛快である。(完)
written by 南無パンクロック
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