
リ―ホー!ニーハオ!南無パンクロック(@NAMUPUNKROCK)です
好きなバンドについてなら、何枚もアルバムを聴いて、ライブにも通って、いろいろ語れる。
でも、たった一曲だけが何十年も残り続けることもある。
鹿児島のSKAバンド、ARTSの「GO! SKA GO!」は、自分にとってまさにそんな曲だ。
先に言ってしまうと、自分はARTSについて詳しいわけではない。
というか、「GO! SKA GO!」以外の曲はほとんど分からない(笑)。

それなのに、この曲だけは20年以上経った今でも忘れていない。大学時代には自分からバンドに持ち込み、みんなで耳コピして、ホーン隊も揃えてライブハウスで演奏した。
出会いは、高校3年のアルバイト中。店内の有線から、たまたま流れてきた。
今回は、その一曲について書いてみたい。
高校3年、バイト先の有線から流れてきた
初めて「GO! SKA GO!」を聴いたのは、高校3年の頃だった。
たしか近所のダイエーだったと思う。その中に入っていた電気屋でアルバイトをしていた。
レジを打ったり、掃除をしたり。ごく普通に仕事をしていたところに、店内の有線から妙に耳に残る曲が流れてきた。
「なんだこれ。やたら耳に残るな」
しかもSKAだった。
「あ、これいいね」
たぶん、最初の感想はそのくらいだったと思う。
仕事の手を止めて感動したとか、その場で誰かに曲名を聞いたとか、そんなドラマチックな話ではない。ただ、流れてきた曲が引っかかった。
特に、サビの「GO! SKA GO!」が耳に残った。
当時はPOTSHOTやKEMURIなども聴いていて、すでにSKAやスカパンクの音自体は好きだった。だから、有線から流れてきたときにも「あ、SKAだ」と耳が反応したのだと思う。
SKAというジャンルや、自分が聴いてきた国内外のSKAバンドについては、以前別の記事でまとめている。
【スカバンドにはどんなバンドがあるのか|SKA発祥の地ジャマイカからイギリス、アメリカ、日本まで】
とはいえ、SKAなら何でも記憶に残るわけではない。
「GO! SKA GO!」には、そのまま聞き流せない何かがあった。
発売日は2002年5月15日。高校3年の記憶と重なった

今回、この記事を書くために発売情報を調べて、少し驚いた。
「GO! SKA GO!」の発売日は、2002年5月15日。DONA DONA RECORDINGSから発売された5曲入りのシングルだ。出演イベントの紹介文でも、ARTSにとって初の単独音源となるデビュー・シングルと説明されている。
2002年。自分が高校3年だった年と、ぴったり重なる。
もちろん、店で聴いた日付までは覚えていない。それでも、「高校3年のバイト中」という記憶が、発売年とちゃんとつながった。
鹿児島のバンドが出した一曲が、遠く離れた近所の電気屋にも流れていた。
当時は、バンドの出身地も、デビュー作だということも知らない。
ただ、
「やたら耳に残るな。しかもSKAじゃん。いいね」
と思っただけだった。
その何気ない出会いを、20年以上経ってから発売情報と照らし合わせている。こういうことがあるから、昔好きだった曲を改めて調べるのは面白い。
バンド名は知らない。でも「GO SKA GO」は覚えていた
記憶を辿ると、有線で聴いたその場で「ARTS」というバンド名まで知ったわけではなかったと思う。
曲名も正確には知らなかったはずだ。
ただ、耳に残った言葉は覚えていた。それを手掛かりに後から探して、曲が「GO! SKA GO!」、バンドがARTSだと知った。
耳で覚えた言葉を頼りに、知らないバンドの曲まで辿り着く。
自分にとっては、曲名そのものが道しるべになった。
CDも買った。
Amazonだったのか、都内のCDショップだったのか。さすがに昔すぎて、そこはもう覚えていない(笑)。
CDをどこで買ったかは忘れた。でも曲は忘れなかった。
ARTSは鹿児島・枕崎から生まれたSKAバンド

ここで少しだけ、ARTSについて。
ARTSは1991年に結成。リーダーのBON氏が経営する鹿児島県枕崎市のバー「SHELTER」を拠点に、ライブ活動を始めたバンドだ。
面白いのは、最初からSKAバンドだったわけではないこと。
2006年のCDJournalのインタビューによると、結成当初に演奏していたのはアコースティック・レゲエ。その後メンバーが増え、1998年に管楽器3本が揃ったことを機に、SKAバンドへと方向を変えたという。
同じインタビューでBON氏は、SKAを軸にさまざまな音楽を取り込む自分たちのスタイルが「マルチスカ」と呼ばれていることを紹介している。また、当時の新作について、懐かしさのある歌謡曲的なメロディーとSKAを組み合わせる面白さも語っていた。
これは「GO! SKA GO!」そのものを解説した発言ではない。
でも、バンドの音楽の作り方を知ると、自分がこの曲に引っかかった理由も少し分かる気がする。
SKAのリズムが好きなのはもちろん、歌も耳に残る。聴き終わっても、頭の中に持ち帰れるものがある。
高校生だった自分が、そんな分析をしていたはずはない。
「耳に残る。SKAだ。かっこいい」
それだけだった。でも、CDを買うには十分な理由だった。
大学では、自分から「これやろう」と持ち込んだ
その後、自分は大学の音楽サークルに入った。
担当はドラムだった。
SKAの曲を何曲か演奏することになったとき、「GO! SKA GO!」を持ち込んだのは自分だ。
自分がやりたかった。
周りのメンバーは、おそらく誰もこの曲を知らなかったと思う。それでも、みんなでコピーすることになった。
スコアを使ったわけではない。音源を聴いて、それぞれ自分のパートを耳で拾った。
自分はドラム。他のメンバーはギターやベース、そしてホーン。
ホーン隊も数人揃えて、ライブハウスで演奏した。
高校3年のとき、バイト先で流れてきた曲。
そのときは、バンド名さえ知らなかった。
それを数年後には、自分がドラムセットの後ろで演奏している。しかも、自分から「これやろう」と言って、他のメンバーを巻き込んでいる。
最初はただの店内BGMだったのに、いつの間にか自分たちのライブの一曲になっていた。
こうして振り返ると、なかなかいい出会い方をしたと思う。
「GO! SKA GO!」は、ドラムを叩いていて楽しい

実際にコピーしてみると、「GO! SKA GO!」はドラムを叩いていて楽しい曲だった。
自分の記憶では、ものすごく難しい曲というわけではない。
「これを叩けたら超絶技巧ドラマー」という感じでは全然ない。でも、楽しい。
リズムに乗ってホーンが鳴り、歌が入って、バンド全体で曲が進んでいく。その中でドラムを叩くのが気持ちよかった。
一人で音源を聴いているときとは、また違う楽しさがある。
しかも、そこに至るまでには耳コピがある。
聴く。分からないところを、また聴く。それぞれが拾った音を、みんなで合わせる。
聴いて好きになった曲を、自分たちの手で演奏できる形にしていく。その過程ごと、この曲の記憶になっている。
だから「GO! SKA GO!」は、自分にとって単なる「昔よく聴いた曲」ではない。
自分で叩いて、身体でも覚えた曲だ。
シングルだけでなく、1stアルバムにも収録されている
音源について、もう一つ。
2002年8月28日発売のアルバム『Authentic Rocksteady Traditional Ska』には、11曲目に「GO! SKA GO!(album version)」が収録されている。
つまり、シングル盤と、アルバム・バージョン表記のある音源がある。
ちなみに、自分が当時買ったCDがシングルだったのか、このアルバムだったのか。これも今となっては記憶が怪しい。
家のどこかから発掘されたら、確認してみたい。
買った場所も、盤の種類も曖昧なのに、一曲だけはここまではっきり残っている。我ながら、記憶の残り方に偏りがある(笑)。
今聴いても、「ああ、やっぱりかっこいいな」と思う
その「GO! SKA GO!」が、こちら。
今聴いても、やっぱりいい。
耳に残る歌があって、ホーンが鳴って、SKAのリズムが走る。その中で曲名を歌うサビが来ると、
「ああ、これはARTSのアンセムだよな」
と思う。
他の曲をほとんど知らない自分が言うのも何だけれど(笑)、少なくとも自分にとって、ARTSといえばこの一曲だ。
もちろん、高校時代や大学時代の記憶も一緒に乗っている。
思い出と完全に切り離して聴くことは、もうできないと思う。
でも、懐かしさを味わうだけで終わらない。今聴いても、曲として普通にかっこいい。
有線で耳にしたときの「なんかこれ、いいな」という感覚も、大学で「これをやりたい」と思った気持ちも、ちゃんと分かる。
当時の自分、いい曲を拾ったなと思う。
ARTSの他の曲はほとんど知らない。でも、この一曲は忘れない

ARTSのアルバムを全部聴き込んだわけではない。
ライブに通ったわけでも、バンドの歴史をずっと追ってきたわけでもない。
それでも、この一曲についてなら書ける。
高校3年のバイト先で耳に残ったこと。言葉を手掛かりに探して、CDを買ったこと。大学で仲間に持ち込み、ホーン隊と一緒に演奏したこと。
詳しいバンドの歴史より先に、自分の中にそういう記憶がある。
あの日、電気屋の有線からこの曲が流れてこなかったら、大学のライブで自分が叩くこともなかったかもしれない。
何気なく聴こえてきた一曲が、後から自分の思い出を増やしていった。
音楽には、そういう残り方もある。
ARTSの他の曲は、今でもほとんど分からない。
でも、「GO! SKA GO!」だけは、ずっと好きだ。

GO! SKA GO!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
written by 南無パンクロック


コメント