Hi-STANDARD『ANOTHER STARTING LINE』『Vintage & New, Gift Shits』レビュー|突然届いた新作の衝撃

パンクロックくん Hi-STANDARD
バンドコラム
<span class="fz-12px">南無P</span>
南無P

リ―ホー!ニーハオ!南無パンクロック(@NAMUPUNKROCK)です
ハイスタの新作発表、実に驚きました!

2016年10月、事前告知なしで突然店頭に並んだHi-STANDARDの16年ぶりの新作『ANOTHER STARTING LINE』。そのわずか2ヶ月後には、カバーシングル『Vintage & New, Gift Shits』もリリースされた。

当時リアルタイムでCDを買いに走った記憶とともに、2作品をあらためて振り返ってみたい。


Hi-STANDARD『ANOTHER STARTING LINE』――16年ぶりの新作シングルが2016年に発売

2016年10月5日、Hi-STANDARDは『ANOTHER STARTING LINE』をリリースした。

全4曲入り。2000年の『Love Is A Battlefield』以来、実に16年ぶりとなる新作シングルだった。

しかも、事前プロモーションは一切なし。店頭に突然並んだことでSNS上に驚きが広がり、入荷初日には4.8万枚を売り上げた。

今振り返っても、この奇襲的なリリースそのものが、Hi-STANDARDらしかったと思う。


事前告知なし――Twitterで知ったHi-STANDARDの新作

そのニュースを知ったのは、何気なく開いたTwitterだった。

タイムラインには「ハイスタが新作を出した!」という驚きと喜びの声が次々に流れてきた。


「CD出した?買うしかない」TSUTAYAへ車を走らせた

風を切る犬の赤いスピードカー

最初は何かの冗談かと思ったくらい、あまりにも突然の情報過ぎて信じられなかった。

でも、それが事実だとわかった瞬間、ハッとした。

「ハイスタがCD出した?買うしかないだろ!」

そう思った次の瞬間には、もう車を走らせてTSUTAYAに向かっていた。

店に着いてCD棚を探したが、見当たらない。店員さんに尋ねると、「ありますよ」と笑顔で手渡してくれた。

思わず「よかった…」と小さく呟いたのを覚えている。

車に戻ると、すぐにCDを開封してカーオーディオにセットした。

CDという“モノ”を手にして、まだ聴いたことのないハイスタの新曲を初めて再生する。

あの時のワクワク感は、今でもよく覚えている。


『ANOTHER STARTING LINE』収録曲――全4曲

『ANOTHER STARTING LINE』には、以下の4曲が収録されている。

  1. TOUCH YOU
  2. ANOTHER STARTING LINE
  3. NOTHING TO LOSE
  4. RAIN FOREVER

4曲という短いシングルだが、曲ごとに表情が異なり、久しぶりに届けられたHi-STANDARDの新曲を一気に聴ける作品だった。


『ANOTHER STARTING LINE』を聴いた感想――昔とは違う、でも確かにハイスタだった

1曲目の「TOUCH YOU」が鳴った瞬間から、Hi-STANDARDの意気込みを感じる音にグッと来た。

これは、紛れもなくHi-STANDARDだ。

全4曲、あっという間に駆け抜けていく。

ただ、正直に言えば、90年代後半から2000年頃までのハイスタとは、少し違う印象も受けた。

曲の骨格やメロディー、3人の演奏から感じるものは、確かにハイスタのまま。それでも、サウンドの質感には以前とは違うものがあって、それが最初に「変わった」と感じた理由だったのかもしれない。

でも、昔と同じものをそのまま鳴らすのではなく、2016年のHi-STANDARDとして新しく始める。

『ANOTHER STARTING LINE』というタイトルは、そんな作品のあり方そのものを表しているように感じられた。


4曲目『RAIN FOREVER』がいちばん心に残った

特に惹かれたのは、4曲目の『RAIN FOREVER』だった。

イントロのアルペジオから始まり、哀愁のあるメロディー、コーラスワーク、ところどころに入る遊び心のあるドラムプレイ。

ただ勢いで駆け抜けるだけではなく、聴くほどに細かな部分が耳に残ってくる。

4曲の中で、いちばん「もう一度聴きたい」と思ったのがこの曲だった。

Hi-STANDARDらしい疾走感とは少し違う角度から、メロディーの良さがじわじわと効いてくる曲だと思う。


『BRAND NEW SUNSET』を思い出した理由

『RAIN FOREVER』を聴いていると、なぜか『BRAND NEW SUNSET』を思い出した。

テンポ感や全体の空気、どこか切なさを含んだメロディーの感じが、自分の中では重なって聴こえたのだと思う。

もちろん、曲そのものが似ているという意味ではない。

ただ、1999年の『MAKING THE ROAD』で『BRAND NEW SUNSET』を聴いていた頃の感覚が、ふっと戻ってくる瞬間があった。『BRAND NEW SUNSET』は同作のラストを飾る曲でもある。

16年ぶりの新作を聴きながら、昔のハイスタの記憶まで同時に蘇ってきた。そのきっかけになったのが、『RAIN FOREVER』だった。


『Vintage & New, Gift Shits』――新録と90年代音源を収めたカバーシングル

『ANOTHER STARTING LINE』からわずか2か月後の2016年12月7日、Hi-STANDARDはカバーシングル『Vintage & New, Gift Shits』をリリースした。

こちらも全4曲。新たに録音されたカバー2曲と、90年代に7インチで発表されていたカバー2曲のリマスター音源を収録している。

『ANOTHER STARTING LINE』とはまた違った形で、Hi-STANDARDのルーツやカバーセンスを楽しめる一枚だった。


4曲の収録曲と原曲――新録2曲+90年代音源2曲

『Vintage & New, Gift Shits』には、以下の4曲が収録されている。

  1. I Get Around — The Beach Boys
  2. You Can’t Hurry Love — The Supremes
  3. Money Changes Everything — The Brains
  4. Happy Xmas (War Is Over) — John Lennon

このうち、「I Get Around」と「You Can’t Hurry Love」は本作のための新録カバー。

一方、「Money Changes Everything」と「Happy Xmas (War Is Over)」は、Hi-STANDARDが90年代に7インチ・レコードで発表していた音源をリマスターして収録したものだ。

Hi-STANDARD公式も、3曲目と4曲目について「過去発売した7inch Vinyl RecordのリマスターCD化」と説明している。

つまりこの作品は、2016年のHi-STANDARDによる新しい録音と、90年代のHi-STANDARDの音を一枚で聴き比べられるカバーシングルでもある。

Hi-STANDARDがこれまでにカバーしてきた楽曲については、「ハイスタがカバーした曲まとめ(2026年版)」で詳しく紹介している。


特に好きなのは『You Can’t Hurry Love』

特に気に入ったのは、新録の2曲目『You Can’t Hurry Love』。

原曲はThe Supremesが1966年に発表したモータウンの名曲だが、Hi-STANDARD版では、その甘さやソウル感を残しながら、完全にハイスタの音へと作り替えている。

テンポ感もギターの鳴り方も、しっかりパンクロック。それでも原曲の持つ柔らかさは消えていない。

音は荒々しいのに、曲全体にはどこか優しさがある。

自分には、『ANGRY FIST』の頃を思い出させるような懐かしさもありつつ、2016年のHi-STANDARDらしい新しさも感じられた。

そして、この曲はMVでも攻めていた。

3人がThe Supremesを思わせる銀ラメのドレス姿で登場し、日本各地の観光名所や名産品を背景に、ひたすらふざけ倒す。

2016年当時の激ロックの記事でも、90年代のHi-STANDARDが持っていた“オフザケ要素”を前面に出したMVとして紹介されている。

曲は本気でカッコいいのに、映像は思い切りふざけている。

この振り幅もまた、Hi-STANDARDらしい。

Hi-STANDARD「You Can’t Hurry Love」


2枚のシングルから『THE GIFT』へ――2017年当時の期待

2017年10月4日──Hi-STANDARDは『MAKING THE ROAD』以来、実に18年ぶりとなるフルアルバム『THE GIFT』をリリースする。

収録曲は本編14曲+ボーナストラック2曲の全16曲。

2016年の『ANOTHER STARTING LINE』で、16年ぶりに突然新曲が届いたと思ったら、その2か月後には『Vintage & New, Gift Shits』。

そして今度は、ついにフルアルバムだ。

『ANOTHER STARTING LINE』では、昔とは少し違いながらも確かにHi-STANDARDだと思える新しい音を聴かせてくれた。

一方、『Vintage & New, Gift Shits』では、昔から変わらないハイスタらしいカバーセンスも存分に楽しませてくれた。

そう考えると、あの2枚のシングルは、このアルバムの“プレゼントの予告”だったのかもしれない。

『THE GIFT』では、いったいどんなHi-STANDARDを聴かせてくれるのだろう。

18年ぶりのフルアルバム。期待せずにはいられない。

▶ 関連記事:『THE GIFT』発売当日に聴いたレビューはこちら


まとめ――『ANOTHER STARTING LINE』から始まった新しいHi-STANDARD

Hi-STANDARDは、いくつになってもハイスタだった。

もちろん、昔とまったく同じ音ではない。

でも、16年という時間を経ても、3人が鳴らす音を聴けば「これはHi-STANDARDだ」と思えるものが、ちゃんと残っていた。

そして、昔と同じことを繰り返すのではなく、今の3人だからこそ鳴らせる音も聴かせてくれた。

だからこそ、この流れを見ていると、『ANOTHER STARTING LINE』というタイトルがますますしっくりくる。

ここからまた、Hi-STANDARDがどんな音を聴かせてくれるのか。

まだまだ楽しみで仕方がない。


<span class="fz-12px">南無P</span>
南無P

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
Newアルバムの発売も待ち遠しすぎますね(^^♪

written by 南無パンクロック 

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